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【副業・節税】副業ブログは事業所得として認められるのか?【青色申告】

副業ブログで20万円以上の所得がある方は、確定申告が必要になります。

確定申告の方法には「白色申告」と「青色申告」の2つの方法がありますが・・・

圧倒的に青色申告の方がお得です。

ただし、給与所得を得ながら(サラリーマンとして働きながら)ブログで稼いでいる方が青色申告をするには、いくつか条件があります。

副業ブログでの青色申告には厳しい条件がありますが、節税のためにはぜひとも青色申告をしたいところ。

そこで、本記事では「副業ブログでも青色申告する方法」をまとめていきます。

青色申告のメリット

青色申告のメリットを見る前に、まずは白色申告と青色申告の違いをざっくり見てみましょう。

・白色申告:申告が簡単。ただし税制上のメリットなし。
・青色申告:申告に条件あり。ただし税制上のメリットが大きい。

ここで覚えておいてほしいのは、とにかく青色申告の方がお得ということ。

それではここから青色申告のメリットについて、詳しく見ていきます。

青色申告のメリット

・最大65万円の特別控除が受けられる
・30万円未満の資産を一括で経費計上できる
・家族への経費を給与にできる
・貸倒引当金を設定できる
・赤字を3年間繰り越せる

最大65万円の特別控除が受けられる

青色申告の最大のメリットは、65万円の特別控除にあります。

所得によって税率は違いますが、ここでは最低税率(所得税5%、住民税10%)で考えてみましょう。

例えば課税所得195万円の人が、青色申告で65万円の控除を受けると、

65万円(控除額)×15%(所得税5%+住民税10%)=9万7500円

なんと最低税率の人でも9万7500円もお得になるのです。

30万円未満の資産を一括で経費計上できる

白色申告の場合には経費として一括計上できるのは10万円までのものですが、青色申告なら30万円まで一括で経費として計上できます。(少額減価償却資産の特例)

白色申告でも10万円以上のものは経費として計上できますが、減価償却が必要になります。単純に面倒くさいです。

家族への給与を経費にできる

もしも家族にブログを手伝ってもらっているなら、その人への給与を経費にできます。

ただし事前に税務署に「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出が必要だったり、「もっぱら従事」という条件があったりするので、この優遇を受けたい方はしっかり調べてからにしましょう。

貸倒引当金・赤字の繰り越し

副業ブログで貸倒引当金が発生することは無いでしょうし、赤字ならそもそも確定申告が不要なので説明は省略します。

副業ブログで青色申告するための条件

青色申告で確定申告をするためには、以下のような条件があります。

青色申告のための条件

・税務署へ事前に開業届を提出していること
・税務署へ事前に青色申告承認申請書を提出していること
・複式簿記で帳簿を作成していること
・申告する所得に「事業所得、 不動産所得、山林所得」が含まれること

開業届は開業から1か月以内、青色申告承認申請書は開業から2か月以内の提出が必要です。

ぱっと見はとても難しい条件に見えますが、開業届と青色申告承認申請書は開業freeeを使えば10分で作成できますし、複式簿記での帳簿も会計freeeで家計簿感覚で作成できます。

問題になるのは一番最後の条件の『申告する所得に「事業所得、 不動産所得、山林所得」が含まれること』です。

副業ブログで青色申告をするには、ブログ収益が「事業所得」でなければいけないのです。

副業ブログでの収益が事業所得として認められるかどうかは、次のような基準を満たすかどうかで決まります。

・自己の危険と計算において独立して行っている
・営利性・有償性がある
・反復・継続して行っている
・社会通念上、事業として認められるか

ネット上には「開業届を出す=事業所得として申告ができる」という記事もありますが、それは間違いです。

少なくとも副業としてブログを書いている場合にはあてはまらないので注意しましょう。

それではここからは、「副業ブログでも事業所得として認められるのか」に焦点を絞って解説していきます。

自己の危険と計算において独立して行っている

「自己の危険と計算において独立して行っている」とはどういうことか。

簡単に言えば「自分でリスクをとっているか」ということです。

例えばブログでいえば、

・サーバーや独自ドメインの費用
・自分の時間を投入して記事を書く

こういったリスクを負っても、お金がもらえる保証は一切ありません。

また、誰かに雇われてブログを書いているわけではなく、あくまで自分の意思でブログを書いています。

これは「自己の危険と計算において独立して行っている」と言えるでしょう。

営利性・有償性がある

「営利性・有償性がある」とはどういうことか。

簡単に言えば「儲かるかどうか」です。

例えば完全に日記や趣味としてブログを書いていて、全く収益が上がっていないような状況では、この条件を満たしているとは言い難いでしょう。

ただし営利性・有償性については「月にいくら以上稼いだら営利性あり!」という具体的な基準があるわけではありません。

少しでも収益が出ているようなら、この条件を満たす可能性は十分にあります。

反復・継続して行っている

「反復・継続して行っている」とはどういうことか。

読んで字のごとく「継続して行っているかどうか」です。

ブログでいえば、日々記事を書き、リサーチに努め、リライトを行い・・・などがこれにあたるでしょう。

というかそもそもブログで青色申告を検討するような人は、確実に一定程度の継続期間があるはずです。

この点についてはあまり気にしなくてもいいでしょう。

社会通念上、事業として認められるか

「社会通念上、事業として認められるか」これが一番難しいところです。

過去の判例では、社会通念上で事業として認められるかどうかの判断基準は、以下のものを総合的に判断するとしています。

・精神的・肉体的な労力
・人的・物的設備の有無
・職業および社会的地位

その者の精神的肉体的労務の投入の有無、人的・物的設備の有無、その者の職業・経験及び社会的地位等を総合的に勘案して判断すべきである。

参考:国税不服裁判所(平成26年9月1日裁決)

ここは判断が分かれるところです。

少なくとも本業と同等ぐらいの労力をかけていないと、難しいかもしれません。

ここからは「副業ブログでも本当に事業所得で申告できるのか」について、さらに詳しく掘り下げていきます。そうすると最初に出てくるのは「事業所得って何?」という疑問です。

まずは国税庁が定める事業所得の定義から見てみましょう。

事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいいます。

参考;国税庁 No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)

これは簡単ですね。「事業で稼いだお金は事業所得」ということです。

すると次の疑問は「じゃあ事業って何?」ということです。

実はこの「事業」に該当するか否かという判断が非常に難しいです。

というのも法令上どこからどこまでが事業なのかが、非常にあいまいだからです。

一応は所得税法施行令の63条に事業の範囲が定めてあります。

(事業の範囲)

第六十三条 法第二十七条第一項(事業所得)に規定する政令で定める事業は、次に掲げる事業(不動産の貸付業又は船舶若しくは航空機の貸付業に該当するものを除く。)とする。

一 農業
二 林業及び狩猟業
三 漁業及び水産養殖業
四 鉱業(土石採取業を含む。)
五 建設業
六 製造業
七 卸売業及び小売業(飲食店業及び料理店業を含む。)
八 金融業及び保険業 九 不動産業 十 運輸通信業(倉庫業を含む。)
十一 医療保健業、著述業その他のサービス業
十二 前各号に掲げるもののほか、対価を得て継続的に行なう事業

所得税法施行令 第63条

簡単にまとめると、「ここに挙げた11個の事業と、対価を得て継続的に行なうものが事業だよ。」と書いてあります。

ざっくり過ぎますよね。

ちなみに、先ほど挙げた

・自己の危険と計算において独立して行っている
・営利性・有償性がある
・反復・継続して行っている
・社会通念上、事業として認められるか

こちらについては、過去の判例を根拠に作成しています。

大学の准教授が執筆料・講演料を事業所得として申告したら、税務署から「それは雑所得じゃね?」と指摘された事例です。

所得税法第27条第1項は、事業所得について、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業で政令で定めるものから生ずる所得である旨規定し、その委任を受けた所得税法施行令第63条において、事業所得の事業に当たるものとして、11項目にわたり業種を例示するとともに、その他対価を得て継続的に行う事業がこれに当たる旨規定している。

このように、所得税法第27条第1項及び所得税法施行令第63条に規定する「事業」については、その意義自体について一般的な定義規定を置いていないところ、その意味するところは、自己の危険と計算において独立して行う業務であり、営利性・有償性を有し、かつ、反復継続して業務を遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められるものであると解される。

そして、ある所得が事業所得に当たるか否かを判断するに当たっては、当該所得が社会通念上「事業」といえる程度の規模・態様においてなされる営利性、有償性、反復継続性をもった活動によって生じる所得か否かによって判断すべきであり、この場合において「事業」といえる程度の規模・態様においてなされる活動といえるかどうかは、自己の計算と危険においてする企画遂行性の有無、その者の精神的肉体的労務の投入の有無、人的・物的設備の有無、その者の職業・経験及び社会的地位等を総合的に勘案して判断すべきである。

国税不服裁判所(平成26年9月1日裁決)

この裁決では、最終的には准教授の得ていた執筆料、講演料は「雑所得である」という結果になりました。

リンク先を詳しく読むと分かりますが、このケースで問題だったのは事業所得として過大な経費を計上し、本業の給与所得と損益通算をしていたことであるように感じます。

事業所得を算定するにあたって、必要経費として旅費交通費や新聞図書費を200万円ほど計上してたのです。

その結果、赤字となった事業所得と給与所得との間で損益通算をしていたようです。

要するに事業所得を赤字で計上して、給与所得の分の税金を減らしていたんですね。

副業の所得が事業所得として認められないと、損益通算ができずに給与所得分の税金が減らせないので、ここまでこじれた可能性が高いです。

結局、副業ブログでの確定申告はどうすべき?

・自己の危険と計算において独立して行っている
・営利性・有償性がある
・反復・継続して行っている
・社会通念上、事業として認められるか

「ここに挙げた条件を自分のブログは満たしている!」という方は、迷わず青色申告にするべきです。

「自分はこの条件を満たしているか不安・・・」という方も、まずは「ブログ収益は事業所得である」と主張して、65万円の控除が受けられる青色申告をしておきましょう。

もし認められなかった場合は、おとなしく修正申告をしましょう。

税務署から後で「これは事業所得じゃなくて雑所得だから」と言われて修正申告をしても、本来払うべきだったはずの税金+αの延滞税になります。

延滞税は、2,000円前後です。(もともと期限通りに申告していて、65万円の控除がなくなった場合の計算です。)

延滞税を気にするより、みすみす65万円の控除を逃す方が、あまりにもったいないです。

副業ブログが事業所得として認められるかは、最終的には所管の税務署の判断です。税務署を納得させるだけの根拠資料を用意しておきましょう。

さいごに:副業ブログは事業所得として認められるのか?

いくつか条件はあるものの、副業ブログでも青色申告をすることはできます。

最後に副業ブログで青色申告をするための条件をまとめておきます。

色申告のための条件

・税務署へ事前に開業届を提出していること
・税務署へ事前に青色申告承認申請書を提出していること
・複式簿記で帳簿を作成していること
ブログ所得が事業所得であること

まずはこの条件を満たすこと。

最後の「ブログ所得が事業所得であること」にあてはまるのは、

・自己の危険と計算において独立して行っている
・営利性・有償性がある
・反復・継続して行っている
・社会通念上、事業として認められるか

ブログという事業が、この条件を満たす場合です。

ブログで収益がある場合には、65万円の控除を受けられる青色申告の方が圧倒的にお得です。可能な限り青色申告をしましょう。

ただし青色申告では、複式簿記の帳簿が必要です。

会計の知識がない場合は会計ソフトの導入は必須なので、「次こそは青色申告に挑戦!」という方は、早めに会計freeeを導入しておきましょう。

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