スポーツビジネス

サッカー選手の年俸と移籍金の関係。サッカービジネスはとんでもない金額が動く。

今では、海外で活躍する日本人サッカー選手も非常に多いです。

本田圭佑や香川真司といったスター達を中心に、移籍の話題が盛んに報じられています。

一人の選手の移籍金として100億円以上が支払われ、メディアを賑わせることもあります。

でも、この移籍金という概念がサッカーに馴染みの薄い人には分かりにくいのではないだろうか?

選手の収入になると誤解している人も少なくないはずです。

そこで今回は、移籍金の考え方について誰でもわかるように解説してみます。

またサッカー選手はチームから「年俸」という形でお給料をもらっているが、年俸と移籍金の違いについても整理して説明します。

サッカー選手の移籍と契約の仕組みについて

前提知識1. 移籍とは?

移籍とは、あるチームから別のチームに移ることをいいます。

A小学校からB小学校に生徒が移ることを「転校」といいますが、これが小学校じゃなくてサッカーチームのときには「移籍」と呼ばれます。

前提知識2. クラブチームと選手の契約について

「移籍」するときに「移籍金」というお金が発生してしまうのは、チームと選手が「契約」を結んでいるからです。

そして移籍するときに、この契約を破るから移籍金といものが発生します。この「契約」についてもここで説明します。

クラブチームと選手の間の契約というのは、「あなたのチームのためにこれから○年間働くので、年俸を○○万円ください。」という約束のことです。

ここではより具体的に。。。

香川真司が2012年イングランド1部プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッド(以下マンU)に移籍したときの契約を例にとりあげて説明してみます。

香川真司は2012年、ドイツ1部ブンデスリーガのドルトムントというチームから、イングランドのマンUに移籍しました。

香川はこの移籍にあたり、マンUとある「契約」を結びました。その契約の中身は、以下のようなものだと言われています。

1. 2012年7月1日からマンUに正式に所属します。
2. 年俸は350万ユーロ(約3億5千万円)ください。(推定です)
3. 基本的に、この先4年間(2016年6月30日まで)は継続してマンUに在籍します。

その他にも、勝利給・優勝ボーナス・ゴールボーナスといったおまけのような内容や、肖像権の取り扱いといった細かいことが、盛り込まれているはずですが、基本的にはこのような内容の契約が結ばれます。

移籍金について

移籍金とは?

ここからが本題です。移籍金とは、ある選手がチームAとの契約期間中なのに、チームBに移籍することになった場合の違約金のことです。

香川真司の例でいえば、マンUとの契約の際、彼は「4年間マンUに継続して在籍する」と約束していました。

しかし、実際は2年が経った2014年8月31日、古巣ドルトムントに移籍することが決定しました。

これでは初めの「4年間在籍する」という契約を破ったことになるので、その違約金を支払う必要があります。

これを移籍金と呼びます。移籍金は移籍先チームが移籍元チームに支払うものであって、選手はこれには一切関わらないです。

またこの移籍金の支払いを「売買」にたとえてみれば、マンUとドルトムントの間で香川真司という選手の保有権を売買し、その金額を移籍金として支払っているともいえます。

移籍金が発生する条件

ここまでで勘の良い方は気づいたかも知れませんが、移籍金は選手が移籍したら、いつでも発生するというわけではありません。

移籍金は、契約で決まっている在籍期間を守らなかった場合の違約金のことです。なので、きっちりと契約満了まで所属し続けて、在籍期間の終了と同時に移籍した場合には移籍金は生じません。

香川の例でいえば、4年間在籍してから移籍すれば移籍金は生じなかったことになります。

このような、移籍金が生じない移籍のことを「フリー移籍」と呼びます。

選手を保有しているクラブは、選手にタダで移籍されてはもったいないので、有力な選手には早め早めから契約更新の交渉を行い、フリー移籍可能な期間が生じないようにすることが多いです。

とはいえフリー移籍はそう珍しいことでもありません。

特にベテラン選手や構想外の選手では、クラブと選手の間で契約更新の交渉がうまく行かずにフリー移籍になるのはよくあることです。

たとえば2015/2016シーズン優勝を果たした岡崎慎司のレスターには、DFのフクスとMFのオルブライトンがフリー移籍で入団したとされています。

優勝決定までに市場価格がどんどん高騰し、それぞれ10億円ほどの移籍金が設定されたと言われてます。

移籍金の金額設定について

移籍金の金額設定は、その選手と契約を結んでいる所属クラブが自由に決めていいことになっています。

移籍金の設定基準はその選手の現在の能力の他に、若さや契約の残り年数といったものが考慮されます。

サッカー選手の市場価格は24~25歳くらいまで上がり続け、その後28~29歳くらいまで維持し、ゆるやかに落ちていくというのが一般的です。

契約の残り年数は長ければ長いほど移籍金が高額になり、また移籍金額については移籍先と移籍元の交渉によって多少の増減があるようです。

2016年現在、移籍金の相場目安は世界最高級のクリスティアーノ・ロナウドで1億ユーロ(120億円)、ドイツ代表主力級のマリオ・ゲッツェで3500万ユーロ(42億円)、日本代表エースの香川真司で1500万ユーロ(18億円)といったところです。

クリスティアーノ・ロナウドの移籍金があまりに高いと感じるかも知れないが、彼ほどの人気選手になると、世界規模のユニホームの売上だけでこの移籍金を回収してしまいます。

またDFの移籍金はFWに比べて低く、過去最高でもダビド・ルイスの4950万ユーロ(当時68億円)とされています。

どうしてもDFよりもFWの方が目立つので、広告塔としての価値も考えればFWに対して莫大な移籍金が設定されるのも仕方ないことかと思います。

年俸について

サッカー選手の年俸と年収の違い

年俸は、選手が所属クラブから一年間にもらう金額のことです。

2016年現在、香川真司で250万ユーロ(3億円)、メッシは桁違いの4000万ユーロ(48億円)と言われてます。

ただしこれは、所属クラブからもらう「年俸」に限った話です。

サッカー選手は有名人なので、CMに出たりして実際の「年収」はもっと多くなる傾向にあります。

年収はトップ選手で年俸の2倍前後になると言われており、香川真司で7億5千万円、メッシで80億円ほどとされています。

まとめると、「年俸」は選手がサッカー選手としてクラブからもらうお金、「年収」は年俸+サッカー以外の場面でCMに出たりしてもらうお金のことです。

だんだん凄すぎて、言葉を失ってきました。

まとめ:移籍金と年俸の違い

ここまで読み進めていただけたなら、年俸と移籍金は全く違うものだとご理解いただけたと思います。

一番の違いはやはり「誰が誰に支払うお金か」というところです。

✔ 移籍金は、移籍先チームが移籍元チームに支払うお金のこと
✔ 年俸は、所属チームが選手に支払うお金のこと。

というふうに覚えていただければ間違いありません。

好きな選手の移籍のたびにお金の話がよく分からずもやもやしていたという方がいれば、このように覚えることで解決できたなら幸いです。